悪性黒色肿は皮肤がんの1つで、単に黒色肿またはメラノーマと呼ばれることもあります。これは皮肤がんの中で最も悪性なもので、垂直増殖期に至ると急激に転移の危険性が上昇すると同时に、肺や骨、肝臓と脳などに远隔転移をきたします。远隔転移が生じた场合の5年生存率は数%程度にすぎないといわれています。従って、如何にがん细胞の増殖と転移を抑制させるかが、悪性黒色肿の治疗の际に最も重视されるポイントになります。
文/周禹晴、许嘉玲 中文版/请连结
2018年6月、中山医学大学医学部皮肤科主任の萧玉屏医师と、医学研究所の柯俊良教授による共同研究チームは、植物疗法に関する医学雑志《Phytomedicne》に、小胞子霊芝由来の免疫调节タンパク质(Ganoderma microsporum immunomodulatory protein、以下GMI)が悪性黒色肿の増殖と転移を抑制するだけでなく、シダミド と并用することでさらなる治疗効果が期待できることを论文で発表しました。
そして2019年、二人の研究チームは肿疡学に関する医学雑志《Oncology Letters》で再び论文を発表しました。ここでは悪性黒色肿のがん细胞に対するGMIの抑制効果が再度确认され、外用抗真菌剤ケトコナゾール (Ketoconazole)との并用可能性が评価されました。
ケトコナゾールとGMIの并用でがん细胞のアポトーシス(プログラム化された细胞死)を促す
体のメラノーマ细胞株(A375.S2)を、异なる浓度のGMIとケトコナゾールと共に24时间培养した结果、GMIの量が0.6μmと1.2μmの场合で、がん细胞の生存率がそれぞれ60%と40%まで减少し、ケトコナゾール20μm単独使用时の生存率80%よりも低くなっていることが分かりました。また、0.6μmと1.2μmのGMIと20μm以上のケトコナゾールを同时に使用すると、がん细胞の生存率がそれぞれ40%前後と20%以下に减少することが明らかになりました(図1)。
GMIは主に「细胞のアポトーシスを促す」作用によりがん细胞の生存率を低下させ、さらにGMIとケトコナゾールを并用することで、より多くのがん细胞を死灭させる効果があると考えられます。
図1 GMIとケトコナゾールを并用することで悪性黒色肿のがん细胞の生存率が减少
ケトコナゾールとGMIの并用でがん细胞のアポトーシス(プログラム化された细胞死)を促す
人体のメラノーマ细胞(A375.S2)をGMIと共に16时间培养することで、GMIの量が0.3μmないし0.6μmであっても、がん细胞の転移を効果的に抑制します。さらに、ケトコナゾール20μmと并用することで抑制効果がより高まり、ほとんどのがん细胞の动きを抑えることができます(図2)。
また実験では、GMIとケトコナゾールの并用が、悪性黒色肿のがん细胞が分泌したケモカインMCP-1を抑制する効果を有することが明らかになりました。ケモカインMCP-1にはがん细胞の増殖と転移を促す作用があります。
図2 GMIとケトコナゾールの并用により悪性黒色肿のがん细胞を抑制
中山医学大学萧玉屏医师と柯俊良教授の研究结果は、GMIとケトコナゾールの并用が悪性黒色肿のがん细胞の増殖を抑制するそのメカニズムを明らかにすることで、転移しやすく危険性の高い悪性黒色肿の新しい治疗方法を提示しました。
注釈
1. ツシジノスタットとも呼ばれる。新たな抗悪性肿疡剤ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤。
2. ケトコナゾール(Ketoconazole)とは、真菌症の治疗に使用されるイミダゾール系合成抗真菌薬の一つ。白癣、カンジダ症、癜风、脂漏性湿疹の治疗に使用されている。また免疫抑制状态や免疫不全状态の患者に対し、真菌による感染症の感染予防のためにも使われている。
〔出典〕Lu CT, et al. Inhibition of proliferation and migration of melanoma cells by ketoconazole and Ganoderma immunomodulatory proteins. Oncol Lett. 2019 Jul;18(1):891-897.