「疲労と倦怠感(Fatigue)」は癌患者を最も困らせる症状の一つであるにもかかわらず、この症状の深刻さはあまり重要视されていません。癌もしくは癌治疗による疲労と倦怠感は「癌因性の疲労」と呼ばれています。この疲労と倦怠感は主観的な感覚で、身体的疲労もあれば、精神的疲労もあります。精神的疲労は休むことや睡眠で改善することは难しく、日常生活にも支障を来たします。
文/许嘉玲 中文版/请连结
「疲労と倦怠感(Fatigue)」は癌患者を最も困らせる症状の一つであるにもかかわらず、この症状の深刻さはあまり重要视されていません。
癌もしくは癌治疗による疲労と倦怠感は「癌因性の疲労」と呼ばれています。
この疲労と倦怠感は主観的な感覚で、身体的疲労もあれば、精神的疲労もあります。精神的疲労は休むことや睡眠で改善することは难しく、日常生活にも支障を来たします。
研究データによると、疲労と倦怠感は呕吐と痛みを伴うことがあり、癌患者を困惫させ、最悪の场合は自杀に至る人もいます。そして、化学治疗や放射线治疗を受けている癌患者にとって、疲労と倦怠感は癌治疗を止めたいと思わせるだけではなく、治疗後の生活の质にも大きく影响してしまいます。
「癌因性の疲労」になる原因として、癌患者の体は长期间炎症反応を引き起こしている状态だからと考えられています(免疫システムは炎症反応によって癌细胞と対抗すると同时に癌细胞も炎症反応を引き起こす)。长期间の炎症反応が体の内分泌に影响し、ホルモンや神経伝达物质の分泌失调により疲労と倦怠感を生じさせます。
しかしながら、临床上に癌因性の疲労の治疗薬はかなり少なく、NCCN(全米を代表とする癌センターで结成されたガイドライン策定组织)のガイドラインによると、仅か一种类の薬-メチルフェニデートと言う中枢神経刺激薬しか取り扱われていません。しかし、この薬には食欲が落ちたり、口が乾きやすくなったり、気持ちが悪くなったり、焦虑したり、神経が紧张しやすくなったり、不眠症になったりする强い副作用を伴うことがあります。
よって、癌细胞と戦う时に、有効な薬物の他に、副作用を抑えながら癌因性の疲労の改善、もしくは解消する方法が必要となります。
そして、今年の5月に中国の广州中医薬大学第一付属病院の肿疡科センターで、非小细胞肺癌のマウス使って、霊芝多糖が癌因性の疲労や肿疡の増殖と成长にどんな影响を与えるかを研究し、その结果は<International Journal of Biological Macromolecules>という雑志で発表されました。
非小细胞肺癌を研究対象として选ばれた理由は高死亡率以外に、约8割の患者が肺癌だと诊断された时点で既に手术するのが不可能で、化学治疗を主にすることしか出来ません。しかし、8割~9割の患者は化学治疗によって癌因性の疲労が引き起こされます。
研究者たちは、まず1组10匹からなる実験用のマウスを9组用意します。1组は正常、ほかの8组は人の非小细胞肺癌の培养细胞を注射し、肿疡が形成されるまで7日间待ちます。癌になった8组のマウスの内の1组は肿疡対照组にして、他の3组は経口投与で低、中、高用量の霊芝抽出物(低:50mg/kg 中:100mg/kg 高:200mg/㎏)を与えました。あとの4组の内の1组は化学治疗の対照组にして、毎日2日おきに腹腔内注射でプラチナ制剤(10 mg/kg)を投与し、残りの3组は化学治疗と同时に低、中、高用量の霊芝抽出物を与えました。(下の図に参照)
(制作/许嘉玲。画像をクリックで拡大)
そして、この3周间に渡る治疗の中で、7日おきにマウスたちのしっぽに锡ワイヤーを巻いて(巻いている锡ワイヤーはマウスの体重の7%)、マウスが疲れるまで泳がせます。10秒以上浮かなければ、マウスが疲れている状态と判断します。つまり、泳ぐ时间が短ければ短い程、マウスは疲れている状态だということです。
结果、肿疡や化学治疗はマウスたちに疲労感を与えることがわかりました。特に、化学治疗は疲労症状を早めることがわかりました。そして、霊芝多糖体は肿疡や化学治疗による疲労を軽减し、その効果も霊芝多糖体の量に比例します。(下の図に参照)
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この结果は、霊芝は炎症反応の缓和、筋肉内の酸化ストレス(酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用)の低下、肾毒性(尿素窒素を减少)の軽减に作用し、癌因性の疲労を改善することが证明されました。しかし、低用量の霊芝では効果が不明了であり、中用量と高用量の方は効果が见られました。
そして、3周间の治疗の後に、霊芝を与えられたマウスと化学治疗をしたマウス、并びに霊芝と化学治疗を平行に治疗したマウスの方が、肺肿疡の生长が抑制されたことが证明されました。化学治疗のみのマウスは、霊芝のみ与えられたマウスより治疗の効果がよく见られましたが、霊芝と化学治疗を平行に治疗したマウスの方は着しい効果が见られました。(下の図に参照)
(制作/许嘉玲。画像をクリックで拡大)
霊芝のみの治疗では肺肿疡の生长の抑制率は约20%、化学治疗のみでは60%でした。しかし、霊芝と化学治疗を平行に治疗することで、肺肿疡の生长抑制を70%にまで上がることが出来ます。
一见、化学治疗のみでも肺肿疡には良い抑制作用がありますが、実际マウスたちの生存率はそれに比例していません。単纯に、霊芝のみの治疗と霊芝(中用量と高用量)と化学治疗を平行に治疗した方が、マウスたちの生存期间が延びるという结果が出ました。
この研究は癌因性の疲労の视点からスタートし、霊芝は癌患者の生活の质(QOL)を上げることが立证されました。それと同时に、霊芝の量が十分であれば、化学治疗との相乗効果があることが分かりました。霊芝は化学治疗による肿疡抑制効果を上げ、化学治疗による副作用も軽减させることが出来ます。
〔出典〕Ouyang MZ, et al. Effects of the polysaccharides extracted from Ganoderma lucidum on chemotherapy-related fatigue in mice. Int J Biol Macromol. 2016; 91:905-910. doi: 10.1016/j.ijbiomac.